かたちのないプレゼント



年度末の最終金曜日だった昨日、飲み会や送別会だった方も多かったのではないでしょうか。

送別会や歓迎会、忘年会や新年会シーズンは、飲食店の書き入れ時。

私が働いている日本料理店も、この3月は毎日のように忙しなく動き回っていた気がしますが、座席数の多いお店はもっと大変。

キャパの広いお店は、連日何十人単位の貸し切り予約が詰まっていて、とっても忙しそうでした。

その忙しさが一旦落ち着いたのが昨日ではないでしょうか。

同業者のみなさま、お疲れさまです。(深々)


ちなみに当店は、何十人単位の団体客が入るようなお店ではないので、昨晩はとっても静かだったんですけど。笑

むしろ、昨日来たお客様は、「本当は送別会だったけど、こっそり逃げて来た」とおっしゃっていたくらいです。笑笑



そして昨日の営業終了後、常連のお客様がふらりといらっしゃいました。

営業時間はご存知のはずなので、いったいどうしたんだろう?と不思議に思っていたら

「実は4月から大阪に行くことになったんです。だからその前に、、、」

と、わざわざご挨拶に来てくださったのでした。



このお客様は私より少し年上なのですが、仕事をしながら学校に通い、国家資格を取得なさったと、つい先日お伺いしたばかりでした。

「だから学校に行ってるあいだはなかなか来れなかったんです~」

と言って「合格祝い」をしていた日からほんの1ヶ月くらいでしょうか。

その資格を生かせる仕事に転職をすることになったそうで、新しい就職先が大阪なのだそうです。


いつも美味しそうに熱燗を飲む姿が印象的で、この方がいらした日には「熱燗飲んで帰ろ」と思ってしまう、そんな経済効果のある(笑)お客様でした。


実はこのお客様のお友達が、ご本人も知らない間に当店へいらしたことがあるそうで

「『ここのお店良いから、今度一緒に行こう』って言ってたのに、知らない間に来てたらしいんだよね。笑」

と言われ、

「ええ!?いつ頃でしょうか?」

とお尋ねしたのですが、来店した日にちがはっきりしなかったのと、「紹介されて来た」というお話も伺わなかったので、どの方だったのかまでは、残念ながら分かりませんでした。

もちろん日頃から気をつけているつもりではいますが、「問題なかったでしょうか?」とお伺いしようとしたら、私が伺うよりも先に

「女将さんのサービスがすごく感じ良かったって言ってたよ^^」

と言われ、更には

「私も『良いよ』って言ってた手前、友達にこのお店が褒めてもらえて嬉しかった」

とおっしゃってくださいました。




24歳のときから今のお店で働くようになった私は、以降、自分が食事をする場所や、提供されたお料理に対しての見方が変わりました。

サービスを受ける側として、向けられて嬉しい言葉や気遣い、それらを教えてくれたのは、自分が「お客さん」として出向いた他のお店です。


そして、サービスを提供する側として、嬉しい言葉や気遣いを教えてくださったのは、私が働くお店に来てくださるお客様方です。


背後から給仕されるお店で、椅子の背もたれに荷物を掛けていると、おもいのほか店員さんの邪魔になること

箸置きを使わずに器の上に渡し箸をしたままでいると、店員さんの手間になること

何気ない「ありがとう」や「ごちそうさま」、「美味しかったよ」「また来るね」が、想像以上に嬉しいこと

それらを教えてくださったのは、お客様でした。



「わざわざ言うことでもないけど、心の中で思ったその人の良いところ」

を口に出されるのって、たぶん、接客業を経験したことのない方が思っている以上に、接客する側にとっては、嬉しいことなんですね。

だから、私がご飯を食べに行ったときは、「わざわざ大それたお世辞を言う」というわけではなく、

接客してくださる方の肌が綺麗だったら「お姉さん、すごく肌きれいですね」と言いますし

前回来たときのことを事細かに覚えられていたりすると「飲食店従事者の鏡ですね(尊敬)」と、思ったことをそのまま伝えます。


そして、自分が言われて嬉しかったこと、されて嬉しかったことを、そのまま自分の接客に生かすようにもしてきました。

残り少なくなったグラスを指しながら、せわしなく

「(次の)お飲物はいかがいたしますか?」

と言うのではなく

「お酒は、ゆっくりがよろしいですか?^^」

とお尋ねするようになったのは、祐天寺のとあるお店を見習って。


日本酒がオーダーされたら、「ください」と言われる前にセットでお水を一緒に出すようになったのは、発祥。


さらに自分が「冷え」を自覚するようになってからは、常温のお水がいいか、冷たいお水がいいかをお尋ねするようになったり

お着物で来店されるお客様には、素敵なお着物が汚れたりしないよう、「襟元用」と「膝上用」に2枚テーブルナプキンをお出しするようになったり

左利きの方には茶碗蒸しに添える匙の向きを変えたり

自分がされて嬉しかったこと、自分がされたら嬉しいだろうと思うこと、それらを「お客さん」として出向いた場所で、最大限に吸収するように心がけてきました。


考え方は人それぞれですから、それは個人の価値観にお任せしますが、「お客さんとお店」のパワーバランスは、「イーブン」ではなくとも、決して「10:0」でもないと、私は思っています。


混雑しているとき、「手が空いたときでいいですよ」の一言がどれだけ救われるか

予約のすっぽかしはもちろんのこと、当日キャンセルや、連絡なしの人数変更がどのくらいお店の負担になるか

それらを知っている身としては、「ちょっとした一言」は惜しみませんし、自分が「やっちゃだめ」と思っていることに関しては、最大限の注意を払います。


結局は「人対人」なのですから、朗らかに接してもらえたら嬉しいし、そのお客様に対して愛情だってわきます。

それは、自分がお客さんとして行ったお店の人の対応を見ていても、伝わってきます。

どのお客様にも100点のつもりで接するけれど、120点で接したいと思うのは、やはりこちらを「人」扱いしてくださる方です。


そういったことを、私は同業の方とお客樣方から教えていただきました。


だけど、ときどき、「そういうこと、ぜんぜん気にしないでワガママ言えるようになりたい」と思うときもありますし(笑)、それは「お客さん」の特権だったりするので、みなさんは、みなさんの思う「サービスの受け方」をしていただければと思います。^^



昨晩ご挨拶に来てくださったお客様は、3月30日月曜日が仕事納めで、翌日の火曜日に引っ越しをし、そして水曜日から大阪で働くという、おそらく私だったら「時間がいくらあっても足りない」とバタバタしているだろうこの時期に、

丁寧な挨拶と、そして、「かたち」としては残らないけれど、決して消えることのない「褒め言葉」という最大のプレゼントを残して、お店をあとになさいました。


そして私は昨晩の仕事帰り、デニーズでこの日記の下書きを書いていたら、なんだかちょっと、泣きそうになりました。笑


さー、明けて本日、私は休日出勤でございますが、お花見に行かれる方もいらっしゃるのでは?


みなさま良い週末をお過ごし下さい。^^


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