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枯れない水源



うちのバイトちゃんの中に、大学4年生のSちゃんという子がいるんですね。
今年の3月には卒業し、4月から新社会人の予定なので、一緒に働けるのはあとわずか。

Sちゃんには同じ年で同じゼミで同じサークルの彼氏が居るのですが、この彼氏がまあ、やんちゃで、同じサークルの後輩(女の子)にも手を出した過去があるらしく(笑)、ある日Sちゃんが出勤してくると「これ見てくださいよ…」と1本の万年筆を取り出したんですね。

奈「?」

S「前、後輩女子の話したじゃないですか」

奈「あ、彼氏が前手出しちゃった子?w」

S「そうですw その後輩、ゼミも私と一緒だし、希望の就職先も私と一緒なんですよ(Sちゃんは内定取得済み)」

奈「へえ~」

S「だからいろいろ話聞きたいって言われて、相談に乗って、そのお礼が、これ(万年筆)です」

奈「…いびつなことやってるね」

S「やっぱそうですよね!?私はもう、なんともないんですけど、その子私の就職先に入りたがってるから、もうすでに会社訪問とかもして在職の人と話したりもしてるらしくて、私はもうなんともないけど、なんだかなーって…」

奈「Sちゃん、うちのお父さんがむかーし言ってたんだけどね、未だに覚えてることがあるのね」

S「はい」

奈「うちのお父さん絵を描くのが好きで、あるとき家族でスケッチしに行こうってことになって、海が見える大きい公園に行ったのね」

S「へえ。いいですね!素敵~」

奈「ありがとう(笑)で、そのときに、私は見えたものを全部描いてたんですよ。描くところから見えるゴミ箱とか、転がってる空き缶とか、景観を損ねるものも全部」

S「はい」

奈「そしたら私の絵を見たお父さんから『スケッチは、写真と違って描きたいものを選べるんだよ』って言われたのね。『ゴミ箱が要らないって思うんなら描かなくていいんだよ』って」

S「はい」

奈「何が言いたいかと言いますと、Sちゃんが『要らない』って思うなら、後輩の女の子を自分の人生に入れなくてもいいんじゃない?ってことです」

S「はあ!」

奈「だって、話聞いてると、自分で自分の機嫌を悪くするようなことやってるように見えるよ」

S「ですよね…」

奈「その子が同じ会社に入って、『避けて通れない』とかってなったらまた話は別だけど、今は避けようと思えば避けられるんだから、あえて関わらなくてもいいんじゃないの?」

S「うう!そうなんです!こんな万年筆とかマジいらないんです!泣」

奈「笑。『もうなんともない』って思ってないと自分の器が小さいような気がしちゃうけどさあ、彼氏と『なんやかんやあった』人と仲良くしてるなんていう方がそもそも不健全だと私は思うよ」

S「うう…そうですよね…」

奈「Sちゃん、自分の人生なんだから自分が気持ちいいように生きないと。do designですよ。自分の居場所は自分で作る。除けるガンは自分で除く。自分の機嫌は自分で直す。だよ」

S「ですよね!ほんとはすごく嫌なんです!!嫌いなんです!!」

奈「どの口が『なんともない』言うてたか!!www」


私がここのところ再三言ってる「自分の機嫌は自分で直す」は、こういうことも影響していて、バイトちゃんたちに比べて年嵩の私から見ると、「それは、自分でも直せるんじゃないかなあ」と思うことだったりして、そして自分で直せるのならそれにこしたことはないと思うから、伝えるようになりました。


ああ、そうそう。先日ちらりと書いたウカッチャンは同業者なんですね。

ウカツにもほどがあるんだけど、彼はとてもいい接客をするのです。
なので、参考になることも多いし、会ったときには仕事の話をたくさんします。
その中で「下にどこまで教えるか」がよくテーマとして持ち上がるんですね。

ほとんどがバイトで、そのうちいなくなることを分かっていて、果たしてどこまで教えるか、どこまで期待をしていいのか、という話を毎回のようにするんです。

私は、自分で言うのもなんだけど、お店に対する愛情が芽生えるのが結構はやい方だったと思うんですね。(そして時々ものすごく嫌になる時期も経たり)

「上達」という言葉を使うとしたら、お店に愛情を持ってもらうのが一番の「上達法」だと思うのですが、愛情なんて強要されて芽生えるものではないし、期待しすぎちゃいけないとも思っていて、仕事に関しての予備知識なんかは、興味を持ってくれそうだなと感じたら教える、というスタンスでいました。

だけど、最近は考えが変わって来たんです。

もう、なんでも教える。知っていることは惜しまない。どこまででも教える。

と思うようになりました。


数年前に、静岡の柿田川へ水源を見に行ったことがあるんですけど、「始点」であるその地点からポコポコと湧き出ている水を見て、「源(みなもと)」という文字に、水をあらわす「さんずい」が使われていることにすごく合点がいったんです。

そしてこのあいだ、日記を書いたこともあって、ソンくんから言われた「奈々ちゃんには、枯れない愛がある!」という言葉を思い出し、枯れることがないのなら、出し惜しむ必要がないなと思ったのです。


私たちの仕事は、「料理を出すこと」だけじゃなくて、板さんたちが丹精込めて作ったお料理を「美味しく食べてもらうように出すこと」です。

「鯛と鮪です」と言うよりも、「朝とれたばかりの瀬戸内の鯛と、大間の鮪です」

「モロコの唐揚げです」と言うよりも、「琵琶湖の活けモロコの唐揚げです」

と言う方が、「へえ~」と、その質の良さを想像し、人の舌は美味しく感じます。

逆に言うと、それくらい、人の舌って不確かなんです。
鮮度の違いだとかは分かっても、食べただけで産地が分かる人なんて、まず、いませんよね。

産地に絶対的な価値があるとは言い切れないけど、産地のブランド力や品質は確かにあって、そして年配で接待慣れしているお客樣方は、そういった知識をたくさん持っています。

だからたとえばホワイトアスパラを出したときに「北海道産?」だとか、12月や1月に竹の子を出したときには「え、はやくない?どこの?」と即座に反応されることも多いのです。

なにごとにおいてもレスがはやいことは信頼に繋がる」と先日書いたのは、そういったやり取りのときに、「少々お待ち下さい」と言わず「北海道じゃなくて今日のは香川産なんですよー」とか、「もう鹿児島とかあっちのほうでは竹の子が出てきてるんです^^」とか、スッと答えられたほうが、そのお店の信頼に繋がるというのを実感しているからです。

そして、そういう「世の中のしくみ」のようなものは、今のお店に限ったことではなくて、社会に出て行ったときにも共通しているから、今教えても損はないと、なんだったらはやいうちに知っていた方がいいと、そう思うようになって、だから、「もう、なんでも教える。知っていることは惜しまない。どこまででも教える。」って、思えるようになったんです。

ここでバイトちゃんたちに「家事やってると頭が良くなるよ」と、なぜならば

改善出来るものであれば改善するし、足りなければ補おうとするようになり、これって「家でやる家事」に限ったことではなくて、仕事場でも学校でも全てに応用できるんですよ。

家事をやっていると、まず優先順位をつける癖がつきますよね。(ね、奥さん^^)

例えば料理の手順がまずそうだし、買い物リストをはじき出すときなんかもそう。何が今一番必要か、というのを考えるようになります。冷蔵庫に残っている食材を消化する順番を考えるのもそうですし、料理に限らずこの時間の中でこれだけのことをやるには、というのを常に考えるようになるんです。

時間の配分や順番を考えるようになるのと同時に、「あるものでなんとかできないか」や「どうにか改善出来ないか」という発想の転換をするようにもなります。


と書いていたのも、私自身が、何がどこで繋がって、いつ何で「気づく」か分からないものだと感じたからで、だとしたら「ひっかかりどころ」は多い方がいいんじゃないかと、私が思ったことや感じたことは極力伝えるようになりましたし、これからもそうしていこうと思っています。


ちょうどお客様にチェイサー(お冷や)を出そうと持って行ったのに「お水をください」と言われたとき、内心「これですが」と思っても、「あら、気が合いますね♡」と言ってスッとその水を出すとか、

お帰りの際、上着を羽織ろうとしたお客様の荷物を「お持ち致しますよ」と言うと「重いからいいよいいよ」と言われても、スッと受けとって「あ、ほんと、夢がたくさん詰まってますね^^」って言うとか。笑

そういう、私がやってきたこと、言ってきたこと、なんでもかんでも教えるようになったんです。活用するかは本人次第ですが。笑

お客様とたくさん話して、コミュニケーションをとっていたほうが、仮に、混雑してお待たせしてしまった状況でも、「忙しそうだね、ここは後回しでいいからね^^」なんていう言葉を掛けていただけたりするんですよ。

そして、「ちょっとしたひとこと」は、私のような年数が長くて、もはや年嵩になってきた「女将」がやるのは当然中の当然で、「やってて当たり前」のことですが、大学生の若い女の子たちがさりげなくそれらを出来たら、「ここの子は若いのにしっかりしてるなあ」って、感心すると思うんですよ。少なくとも、私が他のお店でそういう光景を見たら、「たいしたもんだなあ」と思うんです。

年嵩になればなるほど、「やってて当たり前」になることが増えて来て、ちょっとやそっとじゃ褒めてもらえなくなります。笑
だけど、若いときに褒めてもらえたことやそのときの喜びはずっと忘れませんし、糧になるんです。

若い子たちは、ちょっとしたことで格段に差がつくのだから、のちのち糧になるような喜びを、比較的得やすい若い時期に蓄えていって欲しいなと思うんですよね。

そうやって、惜しまずにいろいろと教えるようになったら、最近バイトちゃんたちの中で何かが「芽生え」てきたのを感じて、そうなると、私も、一緒に働くのがすごく楽しいんですよ。


自分の人生なんだから、自分が気持ちいいように生きる。自分の居場所は自分で作る。


Sちゃんに言ったこの言葉は、そのまま、私にも置き換えられるんです。




そして最近買った本。


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平松洋子さんの「忙しい日でも、おなかは空く。」。

この本の冒頭「塩トマト ーわずかな手間だけれどー」の最後に書かれていたこと。

忙しくてもおなかは空く。ときどき待っていてくれることも、忘れたふりをしてくれることもあるけれど、「やっぱりおなかが空いたよう」と自分のからだが声を上げるから、「うんわかった、もうじきだから待っていなさい」と返事をする。

自分を手なずける方法はたくさん知っていたい。繰り出せる手だてがあれば、自分で自分のめんどうを上手に見てやれるどころか、それ以上のよろこびを受けとれるから。


下に何かを教えていくことは、時にとても苦労をしますが、そのぶん、教えたことが伝播して、そしてその姿を見たときの喜びが大きいことを、私はようやく知り始めました。

今日叩いた鐘は、なかなか今日中には鳴らないけれど、鳴らし続けてもその腕は折れないし、「頑張ったね!」とか「すごいじゃん!」「ありがとう!」なんていう言葉は、いくら言っても、枯れてなくなったりはしません。

「そのうち鳴るんじゃ?」と気長に待とうと思うようになったし、枯れてなくなりはしないのだから、感謝や愛情をあらわす言葉は出し惜しまずに言おうと思うし、そして今居る場所が、自分にとってもっともっと居心地のいい場所になってくれたらなと思います。^^





そしてこれが例の、家族でスケッチに行ったときの写真。


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うしろの真ん中、私小学2年生。







●2015.05.17追記●
久しぶりに読み返すと、バイトちゃんたちがめっちゃ恋しくなるな、この日記。

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